地下鉄銀座線に乗ると疲れた50代後半の男性が電車に座っていた。

膝にはキーボード付きの格安タブレットPCが乗っている。疲れ切って眠りこけている状態であった。

その画面にはビットコインのチャートが延々と表示され続けていた・・・。

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見たところサラリーマンのようであるが身なりは高そうなものを身につけているわけでもなく、普通のサラリーマン中年男性である。そろそろ定年なのか、既に定年を迎えていて再雇用なのかはわからない。

ただ、それくらいの年齢に見える。

仮想通貨のビットコインで損をしてしまったのだろうか。この崩れ落ちるチャートを見つつ、疲れ切って眠ってしまったのだろうか?

夜も安眠できないほど精神的に追い詰められているのだろうか。それはわからない・・・。

 

自分はこの日、仕事帰りに演劇を見に出かけていた。

その帰りに乗ったのが銀座線である。自分が昔から株をやっていた人はビットコインをやっていないのか?と聞いてくる人もいる。

自分は株をリーマンショック後に買い集め、アベノミクス相場でイオン100株を残してすべて現金化してしまった。それ以来、株は税金が上がってしまったので興味もなく引退をした。

FXはレバレッジが強く丁半博打のように感じて買っていない。

FXをやらない自分なのでもちろん仮想通貨のビットコインの存在を知っていたものの取引をしたり、口座を開設したこともない。

 

株式相場も同じ事がいえるが発展途上国など市場が整備されておらず、法律や制度が後手後手にまわっているような市場の方がリスクが高い。リスクが高ければリターンだって高い。

この理論と同じ事がビットコインでもいえると思う。

これから先もビットコインはまだまだ乱高下を繰り返すだろう。安いのか高いのかはわからない。バブルだからといって天井とはいえない。人が熱狂し、話題性があり、金が群がればバブルだろうがもっと上昇するのが相場だ。

相場から引退し、何も調べてもいない日々だが朝のニュースでも仮想通貨のハッキングによる流出を毎日見るようになった。このニュースを見て、これだけ多くの日本人が仮想通貨を利用した博打に熱狂しているものなのかと驚いたものである。

 

話は最初のフレーズに戻るのだが銀座線の男性のような人はいまこの日本にたくさん居ると思う。

投資は自己責任だ。市場が整備されていないハイリスクな相場に丁半博打で資産を大量に投げ込んだ自分が悪い。丁半博打といえども感情による売買や税金を考慮考慮すると単純に勝てる戦いなのかは20%程度の確立だろう。それに負けたのである。人生の後半でその資産をほとんど失えば退場しかない。敗者復活は無理だ。

自分はあえてこの勝負に再び挑むような状況ではないため、相場から引退した。そこそこの債券相場を見る程度である。別に相場に負ける人をかわいそうとは思わない。

全額を借金してクレジットカードのキャッシングもありったけ使って信用二階建てでとんでもなくハイレバレッジで人生大勝負をする人も多数いる。そういう人が一部1億円以上の資産にする。負ければ自殺する事も多い。人生掛けて勝負して負ければ退場するだけなのである。素人が生半可な雑誌やネットの知識で飛び込めばあっという間にゴールドマンサックスのアルゴリズムトレードに簡単にお金を抜きとられ終了だ。それが現代の相場である。

昭和の相場師という世界とはまったくことなるのである。

ビットコインで苦しいんで居る人は、それもまた人生。太く生きようが短く生きようが自己責任だ。相場では珍しくもない光景である。