米国の3Mでは新製品の開発にとにかく接着力が強力な接着剤の開発を進めていた。ところが途中でできたものが何とも接着力が弱い貧弱な接着剤ができた。

これを利用し、いまの付箋紙、つまりポストイットが生まれたのは有名な話である。

この話を聞いて、これはラッキーだと言えるだろうか。

ラッキーな話なのである。ビジネスではこういった幸運という話は非常に多くある。日本人やアジア人は人生で運を余り重要視しない。努力とか根性とかの理由を大きくとるが成功するにはアメリカ人は幸運とかラッキー、たまたまということを非常にもっと大きく重要視している。

アメリカの成功者


ビルゲイツがあれだけ資産家になったのもたまたま親がIBM幹部と知り合いであったことも大きい。あたらなIBM製品のOSを息子にやらせてみないかと話をしたからある一定期間のOSを準備しろとビルゲイツに話が来た。そこでビルゲイツはウィンドウズを開発したのではなく、どこかから買収してきたのである。それをIBM製品に乗せ販売していまのウィンドウズがある。

こんな両親があなたにいるだろうか?

ウォーレンバフェットも投資で成功したが過去の歴史の中で一番いい時期にいい場所で生まれたというラッキーは間違いないだろう。戦後に生まれ、アメリカの高度経済成長に乗り、そして金融立国の波に乗った。

彼がたまたま日本の団地、それも現代のようなデフレ経済に生まれていたら、このようなパフォーマンスは絶対に無理であった。

会社が倒産危機から復活するのもラッキー


会社が倒産危機に瀕している。今で言えば日本板硝子とか中山製綱などの株だろう。こういった株が増収増益で過去の借金を返し、不死鳥のように復活するとしたら株価は5倍、10倍となるだろう。

だがこういった復活に掛ける投資は合理的なのだろうか。過去、企業の復活に掛けて投資をすることは何度もタイミングが存在していた。

倒産しそうなツムラ製薬も投資をすれば数倍になっていた。川鉄と合併し、JFEとなったNKKへの投資などこういった話はたくさんある。

だが、消費者金融で問題になった日榮の株価が12000円から、2000円以下まで暴落したときは買いだろうか。会社はその後、5年以上もずるずると低迷し、株価は500円以下になり、250円が700円になるなど大きく投機的に動くことはあったが決して12000円になることはなかった。そして数年前に倒産した。株は紙くずとなった。

紙くずとなった銘柄はほかにもある。商工ファンド、武富士、そごう、ライフカードなどである。ライフカードはいまでもカードが発行されているから意外に思うだろうが2001年ごろは倒産で株価は3円くらいで随分とうろうろしていた。

 

西武電鉄などは上場廃止であるが個人投資家など紙くずになったのも同然である。ダイエーなどは99%の減資をしたのである。上場は維持されたが株主は紙くずになったようなものだ。80円ぐらいの株が一気に1500円以上に減資でなったのである。しかし保有株数は爆発的に減らされ大損したのである。

最近などではJAL倒産も悲劇だろう。国は倒産させないと思ってラッキーに掛けた個人投資家は大損をしたのである。

ラッキーに掛ける投資は避けるべき


どうしようもない企業への倒産から復活への投資は、非常に魅力的だし、実際に復活する企業もたまに存在する。これはベンチャー企業へ投資するよりも確立は悪い。だが結果を見て判断すると脳は分析を過剰にハードルを低く見積もる傾向にある。

だから、大企業の復活に掛けて投資をすることは効率的にも錯覚してしまうのである。

 

複数の企業が倒産危機から復活するのはレアケースだと思ったほうがいい。そのような企業へ無配で長期投資する行為はばかげている。その会社に300万円をつぎ込むならば、ベンチャー企業に1/10の資金である30万円を分散して投資するほうが確率はまだ良い。

 

倒産危機からの復活は魅力がある。素人投資家は12000円であった株価が暴落し1000円になれば、再び12000円に復活するに違いないと思いがちである。しかし、そういったことはほとんどありえない。ここに個人投資家があまりにも深く入り込む傾向がある。非常に危険である。

このような企業へラッキーを期待し、多額の資金を長期投資しては絶対にいけないのである。勝ち馬に乗らなければいけない。